活動報告report
介護老人保健施設での認知症高齢者における音楽療法の効果
ー音楽療法前後における認知面の変化についてー 
2013.02.07
【対象者および目標】
認知症高齢者は日常生活に支障が生じるまでの記憶障害、見当識障害、判断機能の進行的な低下がある（小山）。これにより介護老人保健施設Ａに入所中の認知症高齢者、計38名（男性9名、女性29名、平均年齢80歳、要介護度1〜5）に対してセッション前後のBPSDの変化、維持、向上を目標にする。
【方法】
月一回のセッション（2012年5月〜12月、毎週第二土曜日、15時〜15時45分）で全8回を対象にA施設3階フロアで実施。スタッフはセラピスト兼ピアノ伴奏1名、ギター伴奏1名、補助1名、施設職員2〜5名。使用楽器はキーボード、ギター、ベース、マラカス、鈴、タンバリンなどの手持ちできる楽器等や、ホワイトボードに張り出す788×1085mmの歌詞カードを使用した。使用曲は唱歌、童謡、軍歌、歌謡曲で、季節に合わせたもの、アップテンポの曲、落ち着いた曲にし、セッション内容は、以下の通り。
1、あいさつ、発声練習をして導入曲で、各季節等の曲を使用。（展開までの間に3曲程度）。
2、展開では楽器活動として対象者にマラカスなどの楽器を持ってもらいアップテンポな曲や歌謡曲に合わせて音を鳴らす、また曲に合わせて体操をする。（鎮静までの間に5曲程度）。
3、鎮静では落ち着いた曲を使用し展開での興奮を抑えることを行った（終わりまでの間に3曲程度）。
4、終わりの歌として、毎セッションの最後には唱歌である「故郷」を使用。
【経過および結果】
1、あいさつ、発声練習は声がよく出ていた。導入曲では馴染みのある季節に沿った曲を使用しているがなかなか声が出ていない。しかし回数を重ねるごとにではあるが声が出てきた。
2、楽器活動では、初めは適当に鳴らしていたが、セラピストと共に曲に合わせてマラカス等を使い鳴らせるようになった。体操もゆっくりではあるが回数を重ねるごとに合うようになってきた。
3、鎮静では、落ち着いた歌謡曲や唱歌を使用し、展開で体を動かしたことによって声が出てきたとともに表情も変わってきた。
4、毎セッションに共通して「故郷」を使用。誰もが知っている曲なので馴染みがあるためか、数人の対象者は歌詞を見ずに歌うことが可能であった。
【考察】
1、導入ということで、声が小さくなかなか歌うことに入っていけない対象者が多数見られた。しかし回数を重ねるごとに対象者の歌声が大きくなってきた。見当識障害がみられるため季節がわかる曲を選択し実施し、曲で今の季節が何かを思い出したり、全く理解できなかったりと反応は様々であった。
2、楽器を鳴らしながら歌うということが難しいのか、歌っている対象者と楽器を鳴らす対象者に分かれていた。また2つ同時にできる対象者は少数いたが介護度が比較的軽い場合であった。体操ではセラピストの模倣を行うため何度か説明して実施するとできるようになっていたが、これも介護度が軽い対象者に限られていた。
3、落ち着いた曲を行うことによって感情失禁のある対象者が涙を流し、周りの対象者を驚かせるといったことがあったが、ほとんどの場合声や表情もしっかりとしていた。
4、回数を重ねるごとに最後に何の曲を歌うか理解している対象者が見られた。
月一回と少ない中でも回数を重ねるごとに比べ表情が柔らかく変化してきたことや介護度が軽い対象者から次はいつ音楽をやるかと言われたことがあり、短期記憶がある対象者もいた。徘徊のある対象者は各セッションで1名〜3名ほどで途中退室してしまう場合があった。また何名かの対象者はセッション直後に不穏行動が見られなかった。今回は様々な介護度、対象者で研究を行ったが今後は、同じような介護度や疾病、少人数で行うことも必要と考える。
認知症高齢者は日常生活に支障が生じるまでの記憶障害、見当識障害、判断機能の進行的な低下がある（小山）。これにより介護老人保健施設Ａに入所中の認知症高齢者、計38名（男性9名、女性29名、平均年齢80歳、要介護度1〜5）に対してセッション前後のBPSDの変化、維持、向上を目標にする。
【方法】
月一回のセッション（2012年5月〜12月、毎週第二土曜日、15時〜15時45分）で全8回を対象にA施設3階フロアで実施。スタッフはセラピスト兼ピアノ伴奏1名、ギター伴奏1名、補助1名、施設職員2〜5名。使用楽器はキーボード、ギター、ベース、マラカス、鈴、タンバリンなどの手持ちできる楽器等や、ホワイトボードに張り出す788×1085mmの歌詞カードを使用した。使用曲は唱歌、童謡、軍歌、歌謡曲で、季節に合わせたもの、アップテンポの曲、落ち着いた曲にし、セッション内容は、以下の通り。
1、あいさつ、発声練習をして導入曲で、各季節等の曲を使用。（展開までの間に3曲程度）。
2、展開では楽器活動として対象者にマラカスなどの楽器を持ってもらいアップテンポな曲や歌謡曲に合わせて音を鳴らす、また曲に合わせて体操をする。（鎮静までの間に5曲程度）。
3、鎮静では落ち着いた曲を使用し展開での興奮を抑えることを行った（終わりまでの間に3曲程度）。
4、終わりの歌として、毎セッションの最後には唱歌である「故郷」を使用。
【経過および結果】
1、あいさつ、発声練習は声がよく出ていた。導入曲では馴染みのある季節に沿った曲を使用しているがなかなか声が出ていない。しかし回数を重ねるごとにではあるが声が出てきた。
2、楽器活動では、初めは適当に鳴らしていたが、セラピストと共に曲に合わせてマラカス等を使い鳴らせるようになった。体操もゆっくりではあるが回数を重ねるごとに合うようになってきた。
3、鎮静では、落ち着いた歌謡曲や唱歌を使用し、展開で体を動かしたことによって声が出てきたとともに表情も変わってきた。
4、毎セッションに共通して「故郷」を使用。誰もが知っている曲なので馴染みがあるためか、数人の対象者は歌詞を見ずに歌うことが可能であった。
【考察】
1、導入ということで、声が小さくなかなか歌うことに入っていけない対象者が多数見られた。しかし回数を重ねるごとに対象者の歌声が大きくなってきた。見当識障害がみられるため季節がわかる曲を選択し実施し、曲で今の季節が何かを思い出したり、全く理解できなかったりと反応は様々であった。
2、楽器を鳴らしながら歌うということが難しいのか、歌っている対象者と楽器を鳴らす対象者に分かれていた。また2つ同時にできる対象者は少数いたが介護度が比較的軽い場合であった。体操ではセラピストの模倣を行うため何度か説明して実施するとできるようになっていたが、これも介護度が軽い対象者に限られていた。
3、落ち着いた曲を行うことによって感情失禁のある対象者が涙を流し、周りの対象者を驚かせるといったことがあったが、ほとんどの場合声や表情もしっかりとしていた。
4、回数を重ねるごとに最後に何の曲を歌うか理解している対象者が見られた。
月一回と少ない中でも回数を重ねるごとに比べ表情が柔らかく変化してきたことや介護度が軽い対象者から次はいつ音楽をやるかと言われたことがあり、短期記憶がある対象者もいた。徘徊のある対象者は各セッションで1名〜3名ほどで途中退室してしまう場合があった。また何名かの対象者はセッション直後に不穏行動が見られなかった。今回は様々な介護度、対象者で研究を行ったが今後は、同じような介護度や疾病、少人数で行うことも必要と考える。
更新履歴
過去の活動報告です。
| 活動実施日 | タイトル | 場所(URL) |
|---|---|---|
| 2012.12.12 | 老健デイケアでの音楽療法活動 | ar2012_12_12 |
| 2012.10.25pm | 予防デイサービスセンターでの音楽療法活動（全５回中5回目） | ar2012_10_25pm |
| 2012.10.25am | 予防デイサービスセンターでの音楽療法活動（全５回中４回目） | ar2012_10_25am |
| 2012.10.24pm | 予防デイサービスセンターでの音楽療法活動（全５回中３回目） | ar2012_10_24pm |
| 2012.10.24am | 予防デイサービスセンターでの音楽療法活動（全５回中２回目） | ar2012_10_24am |
| 2012.10.23am | 予防デイサービスセンターでの音楽療法活動（全５回中１回目） | ar2012_10_23am |
| 2012.09.25 | 老健デイケアでの音楽療法活動 | ar2012_09_25 |
| 2012.08.06 | デイサービスセンターでの音楽療法活動 | ar2012_08_06 |
| 2012.07.14 | 新規デイサービスセンターでの音楽療法活動 | ar2012_07_14 |
| 2012.07.07 | デイサービスセンターでの音楽療法活動 | ar2012_07_07 |
| 2012.06.25 | 老健デイケアでの音楽療法活動 | ar2012_06_25 |
| 2012.06.02 | デイサービスセンターでの音楽療法活動 | ar2012_06_02 |
| 2012.05.13 | 老健デイケアでの音楽療法活動 | ar2012_05_13 |
| 2012.03.17 | 名古屋音楽療法工房の初デビュー | ar2012_03_17 |
| 2012.01.05 | 勤務先の介護老人保健施設にて | ar2012_01_05 |
