2012.03.15
スタッフブログにもありますが、2012年2月に助言を受けてから早1ヶ月が経とうとしています。音楽療法を行う際には、必ず「今日は大きい声でハキハキとしゃべろう!」「演奏する前に一端深呼吸して、少し遅いくらいのテンポを心がけよう!」「明るく元気に、笑顔を振りまきながら、参加者ひとりひとりの目を実施中に1回は必ず目配りすることを心がけよう!」などと、念頭に置いて意識して実施してきました。
これまで活動の様子を撮影する際、参加者の表情や変化を観察する目的で、セラピストや演奏者側から参加者を撮影していましたが、助言を受けてからはセラピストの動きや表情を撮影しています。撮影した動画を見ても、撮影を繰り返す度に少しずつ良くなっています。参加者の表情や変化が分からないため、それが参加者の楽しみや笑顔に反映されているかというと、これもまた少しずつではありますが、反映されているように受け取れます。
この一連の活動を通して気付いたこと。それは、セラピストや演奏者のレベル(司会進行のスムーズさ、ミスなく演奏できるかなど)と比例して参加者の参加意欲や集中力、楽しかったという評価につながっていること。
(セラピスト×司会進行レベル)+(演奏者×演奏レベル)×参加者=参加者の笑顔、楽しみといったプラスの心理効果
目には見えませんが、こういった公式があるように感じています。
「×(かける)」の部分は倍という効果の表現と同時にどちらか片方が0だと0になるという意味も込めました。
現在は、ホワイトボードに歌詞紙(765×1085mmの画用紙に歌詞1番のみを書いたもの)を貼付け、1回目はセラピストが鈴やカスタネット、マラカスといったリズム楽器でリズムを刻みながら、首を大きく振って視覚でもリズムがとれるようにしながら、参加者と一緒に歌います。リハーサルといった形です。
その流れで、ギターに持ち替え、参加者の歌声を聞きながら、曲の出だしやフレーズの出だしのみ歌うなどしています。
またキーボードでメロディーのみなら弾けますという職員がいたため、一緒に演奏に参加していただいたり、演奏できない職員にはコセラピスト役や参加者の不安やトイレや気分不快者の対応という形で行っております。これは名古屋音楽療法工房としての活動ではありませんが、音楽療法を施設で行いたい、やってみようという方にはこうして、一人でも行っていれば、どんどん輪が広がっていくこととして、参考になればと思います。
名古屋音楽療法工房としても、上記の歌詞紙を利用して、譜面台やアンプなどの物品、機材を使用し、セラピストはこれまで座って演奏していましたが、立って演奏しています。
これだけで、かなり違いがでました。何が違うか。立つことによって視野が大きく広がります。
立つだけで、多くの参加者の表情や変化が飛び込んできます。また首を振ってリズムを視覚的にわかりやすくすることをしていましたが、立つことにより、左右に体を揺らしたり、体全体を大きく使えるので、よりわかりやすく大きく表現できます。そして、曲間の準備の際にも迅速に動けます。1動作はぶくことでテンポの良い進行が可能になりました。
また私一人で音楽療法をレクリエーションの時間に行う際、実習に来ていた看護学生が見学したいということで、見ていただきました。また同日に施設のリハビリでも「歌の会」という音楽療法を取り入れたリハビリが行われており、そちらと合わせて見学してもらいました。その後の実習レポートを拝見させていただきました。評価としては、どちらも良いということでしたが、レポートにはリハビリ職員による「歌の会」のほうが好評で、心身効果に対するアプローチができているという評価でした。
私の行う音楽療法とリハビリの行う音楽療法の大きな違いは、曲間で行う「回想法」や「コミュニケーション」でした。曲の合間に回想法を取り入れたコミュニケーションを行うことにより、相乗作用がある点です。「この曲が流行った頃は若くよくギターを弾いていたよ、今は弾けないけど音楽はいいね」などと参加者からの自発的な会話や回想による脳の活性を促せます。また、その頃流行った曲で他にありますか?という問いからリクエストを募り、つなげていくことにより、より集中力を維持でき、効果も期待できます。もちろんリハビリですから、歌いながら手足を曲に合わせて動かすことで身体機能や運動にも効果がある。ということで、より多くに対してアプローチできる点が実習生、音楽療法を知らなかった第3者からの率直な評価でした。
またその比較評価として、私が行う音楽療法はセラピスト主導でどんどんすすめていくため、第3者からは一方的な感じがするという評価もありました。
リハビリが行うリハビリや回想法をまじえた音楽療法は少数対象としており、私たちが行う音楽療法は2〜30名程度と参加者数の違いにより、回想法の取り入れずらさは否めませんが、よい検討材料として、さらに良い音楽療法ができるよう、さらなる実践研究していきます。